外壁材は、住宅の見た目や印象を左右する重要な要素です。
見た目だけではなく、耐候性や耐火性、遮音性など、外部のさまざまな条件から住宅を守る役割も担っているため、選ぶ際は慎重に考える必要があります。
外壁材で迷っている方のなかには、「外壁材の役割は?」「外壁材にはどんな種類がある?」と考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、外壁材の概要をはじめ、外壁の種類や見分ける方法、外壁材の選び方などについて詳しく解説します。
外壁材とは
外壁材は、建物の外側を構成する重要な建材であり、主に建物の外壁部分に使用されます。
建物の外観や機能性を決定づける要素となるため、選択する際はデザインや見た目だけではなく、耐久性やコストなど多くの要素を考慮することが大切です。
ここからは、外壁材の役割や施工場所、工法などについて解説します。
外壁材の役割
外壁材は、建物を保護し美観を整える重要な役割を果たします。
まず、外壁材は風雨や紫外線、温度変化などの外部環境から建物を守ります。耐候性や耐火性を備えた外壁材を選ぶことで、建物の寿命を延ばし、安全性を高めることが可能です。
また、外壁材は建物の外観デザインを決定づける重要な要素であり、素材や色彩、テクスチャーなどの選択により、建物の印象を大きく変えることができます。
街並みとの調和や個性的な外観の演出など、建物のコンセプトに合わせた外壁材の選択が可能です。
外壁材の施工場所
外壁材は主に建物の外側全体に施工されます。具体的には、建物の正面、側面、背面の壁面部分が主な施工場所となります。
外壁材の施工場所は、建物の構造や設計によって異なりますが、一般的に地面から屋根までの壁面全体をカバーします。特に、雨や日光にさらされやすい部分には、耐候性の高い外壁材を選択することが重要です。
また、建物の角や開口部周りなど、応力がかかりやすい箇所には、強度のある外壁材や補強材を使用することもあります。
外壁材の工法
外壁材の工法は、選択する材料や建物の構造によって異なります。一般的な工法としては、サイディング工法、モルタル塗り工法、タイル張り工法などがあります。
サイディング工法では、工場で生産された板状の材料を現場で取り付けます。この方法は施工が容易で工期も比較的短いのが特徴です。
モルタル塗り工法は下地にモルタルを塗り、その上に仕上げ材を施す方法です。自由なデザインが可能ですが、技術を要します。
タイル張り工法は、接着剤や目地材を使用してタイルを壁面に張り付ける工法であり、高い耐久性と高級感のある仕上がりが特徴です。
外壁材の種類と特徴
外壁材にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。ここでは、外壁材の種類と特徴を紹介します。
窯業系サイディング
窯業系サイディングは、日本の住宅外壁材市場で約70%のシェアを占める最も人気の高い外壁材であり、セメントと繊維質を主原料とし、高温高圧で成形されています。
耐久性、防火性、耐候性に優れており、多彩なデザインと色柄が特徴です。価格も比較的手頃で、コストパフォーマンスが高いとされています。
メンテナンス周期は7〜8年程度で、塗り替えによって長期間使用できますが、継ぎ目のシーリング劣化には注意が必要です。
デザインの自由度が高いため、和風から洋風まで幅広い住宅スタイルに対応できます。
金属系サイディング
金属系サイディングは、主に溶融亜鉛メッキ鋼板やガルバリウム鋼板を使用した外壁材です。
軽量で耐久性に優れ、窯業系サイディングの約1/4の重量しかありません。そのため、建物への負担が少なく、耐震性にも優れています。
メンテナンス周期は10〜15年程度と長く、ひび割れや凍結の心配が少ないのが特徴です。
また、金属特有のメタリックな質感を活かしたデザインが可能で、モダンでスタイリッシュな外観を演出できますが、窯業系サイディングに比べると価格が若干高めになる傾向があります。
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは、塩化ビニル樹脂を主原料とした外壁材です。非常に軽量で、窯業系サイディングの約1/10の重量しかありません。
耐久性や耐候性に優れ、寒さや酸性雨にも強く、ひび割れしにくいのが特徴であり、表面塗装ではなく顔料が練り込まれているため、基本的に再塗装が必要ありません。
また、オープンジョイント工法を採用しているため、継ぎ目のコーキングも不要で、メンテナンス性が非常に高いのが最大の長所です。
木質系サイディング
木質系サイディングは、無垢の木材を使用した外壁材です。木材特有の温かみと自然な風合いが魅力で、経年変化による味わいも楽しめます。
近年では、無垢の木材に不燃処理を施すことで、防火性や耐火性、耐久性を向上させた製品も増えています。断熱性に優れ、自然との調和がとれた外観を実現できることが特徴です。
ただし、メンテナンスコストが他の外壁材よりも高くなる傾向があり、定期的な塗り替えや水分による腐食・変色を防ぐためのケアが重要です。
モルタル
モルタルは、砂とセメントと水を混ぜ合わせた材料で作られる外壁材です。十分な防火性があり、継ぎ目がないため、どんな形状の外壁にも対応できる高い自由度が特徴です。
仕上げの工法によって多彩な表情を演出することができ、個性的な外観を求める方に人気があります。
ただし、工業製品の外壁材とは異なり、職人の手作業による現場施工となるため、施工者の技術力によって仕上がりや耐久性に差が出ます。
最大の弱点は「ひび割れ」であり、適切なメンテナンスを行わなければ美観や機能性を維持することができません。
タイル
タイルは、粘土を主成分とした原料を板状にして焼き固めた外壁材です。耐久性に非常に優れ、傷や摩耗がつきにくく、紫外線による変色や褪色もほとんどありません。
また、ほとんど吸水しないため、汚れにくく、雨の影響も受けにくいのが特徴です。正しく施工されれば20年〜30年以上の耐久性を発揮し、メンテナンス周期も長いです。
高級感のある外観を演出できるため、洗練された印象の住宅に適しています。ただし、初期費用は他の外壁材と比べて高額になるケースが多いです。
ALC
ALCは、軽量気泡コンクリートとも呼ばれ、ケイ石、セメント、生石灰、発泡剤を主原料とし、発泡させて高温高圧で養生し成型した外壁材です。
重量はコンクリートの1/4程度と軽量で、断熱性、防火性、遮音性に優れているのが特徴です。
工場で製造されたALCボードを現場で施工するため、品質が安定しています。ただし、水や湿気を吸いやすい性質があるため、防水性を保つための定期的な塗装メンテナンスが必要です。
メンテナンス周期は10〜15年程度で、適切なケアを行えば長期間使用できます。デザイン性はモルタルやサイディングほど高くありませんが、機能性を重視する方に適しています。
RC
RC(鉄筋コンクリート)は、コンクリートに鉄筋を組み合わせた外壁材で、強度と耐久性が非常に高いのが特徴です。
RC外壁は耐震性や耐火性に優れ、長寿命であり、断熱性や遮音性も高いことから、快適な住環境を提供します。
また、デザイン性も高く、打ちっ放しのコンクリートはモダンでスタイリッシュな外観を実現することが可能です。
ただし、施工には高度な技術が必要であり、定期的なメンテナンスとして10~15年に一度の撥水剤の塗装も必要になるため、トータルコストは高くなります。
外壁材を見分ける方法
外壁材は見分けがつかないように思えるかもしれませんが、見分ける方法はあります。
ここでは、外壁材を見分ける方法を紹介します。
目地の有無
外壁材を見分けるうえで最初に注目すべきポイントは、目地の有無です。
窯業系サイディングやALCパネルは、ボードを組み合わせて施工するため、等間隔で目地が存在します。
一方で、シームレスな外観をしているモルタルには、そもそも目地がありません。金属系サイディングにも目地はありますが、施工時に隠されるため目視することは難しいです。
目地が全くない場合はモルタルで、はっきりとした目地が見える場合は窯業系サイディングやALCパネルであると判断できます。
目地の方向・位置
目地の方向や位置も、外壁材を見分ける重要な手がかりとなります。
特に窯業系サイディングの場合、ほとんどの製品が縦幅3030mm程度で作られているため、約3mの高さに水平方向の目地が見られます。2階建ての住宅では、1階と2階の境界付近にこの目地が来ることが多いです。
窯業系サイディングでは、垂直方向の継ぎ目と切断部分にシーリング材を使用するのが一般的です。
一方で、ALCパネルはすべての目地にシーリング材を使用するため、目地の処理方法の違いで判別できる可能性があります。
横幅の大きさ
外壁材の横幅も、種類を判断するうえで重要な指標となります。
特に窯業系サイディングは、ほとんどの製品が455mmの横幅で製造されています。そのため、目地から目地までの距離を測定し、約455mmであれば窯業系サイディングである可能性が高いです。
一方で、ALCパネルの横幅は300〜600mmと幅があり、一律ではありません。金属系サイディングも製品によって横幅が異なるため、横幅だけで判断するのは難しい場合があります。
外壁の厚み
外壁の厚みは、特にALC外壁を識別する際に重要な特徴となります。
ALCパネルは薄型でも35mm、厚型では100mm以上と、他の外壁材に比べてかなり厚みがあります。窯業系サイディングの場合、一般的な厚さは14〜18mm程度です。
外壁の厚みを確認するには、窓から外壁までの距離を観察したり、直接測定したりすることが効果的です。厚みが明らかに他の外壁材より大きい場合、ALC外壁である可能性が高くなります。
叩いたときの感覚・音
外壁を軽く叩いたときの感覚や音も、外壁材の種類を判断する重要な手がかりの一つです。
金属系サイディング以外の外壁材は、主にセメントを含む材料で作られているため、叩いたときの音や感触が金属とは明らかに異なります。
金属系サイディングは名前の通り金属でできているため、叩くと金属特有の響きがします。一方、窯業系サイディングやモルタル、ALCなどは、より鈍い音がしやすいです。
ただし、外壁の下地に胴縁(外壁材を固定するための板)が等間隔で設置されている場合、叩く位置によって音が変わることがあります。
外壁材の選び方
多くの種類がある外壁材から自分に合ったものを選ぶのは難しいと感じるかもしれませんが、重視するポイントを決めることができれば、比較的簡単に選べます。
ここでは、外壁材の選び方を紹介します。
予算で選ぶ
外壁材の選択において、予算は重要な要素です。
一般的に、窯業系サイディングは1平方メートルあたり3,500~5,000円程度と比較的安価で、コストパフォーマンスに優れています。モルタルも1平方メートルあたり1,500~4,000円のため、経済的な選択肢といえます。
一方、高級感のあるタイルは1平方メートルあたり7,000~9,000円、ALCボードは1平方メートルあたり7,000~15,000円が相場であり、窯業系サイディングやモルタルと比べるとやや高めです。
外壁材の金額は業者によっても変動するため、選ぶ際は複数の業者から見積もりをとるようにしましょう。
デザインで選ぶ
見た目重視であれば、外壁材をデザインで選ぶことも一つの選択肢です。主要な外壁材の特徴は以下の通りです。
- 窯業系サイディング:色・テクスチャーのバリエーションが豊富
- 木質系サイディング:自然の風合いがあり、温かみのある外観を演出できる
- 金属系サイディング:モダンでシンプルな印象を与え、コンテンポラリーな外観にできる
- モルタル:左官技術を活かした独特の風合いがあり、塗り壁として自由にデザインできる
- タイル:高級感があり、和風から洋風まで幅広いスタイルに対応できる
外壁材によって家の印象が大きく変わるため、自分の好みや周辺環境との調和を考慮しながら、理想の外観を実現できる外壁材を選びましょう。
メンテナンス頻度を考慮して選ぶ
外壁材のメンテナンス頻度も選定の重要なポイントです。
たとえば、窯業系サイディングは約7~8年ごとにメンテナンスが必要ですが、樹脂系サイディングであれば10~20年とメンテナンス頻度が少なく済みます。
金属系サイディングも10~15年と比較的メンテナンス頻度は少ないですが、錆びやすい点には注意が必要です。タイルは約20年と耐久性が高く、メンテナンスの手間が少ないため、コストパフォーマンス重視であれば良い選択肢になるかもしれません。
外壁材の選び方は、予算、デザイン、メンテナンスのバランスを考慮して、自分のライフスタイルや好みに合ったものを選ぶことが大切です。
まとめ
この記事では、外壁材の概要や種類、見分ける方法や選び方などについて解説しました。
外壁材にはさまざまな種類があり、それぞれ見た目や耐久性、表現できるスタイルなど、特徴に細かな違いがあります。
選び方に正解はありませんが、予算やデザイン、メンテナンス頻度などに重点を置いて考えてみると選びやすくなるはずです。
『ホーム・インテリジェンス』は、外壁塗装と屋根リフォームの専門会社です。
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