良い外壁塗装工事をする為に、実際の『消費者センター相談案件』から学びましょう!
今回は、塗装工事で実際に起きた問題事例から専門店ならではの見解も交えながら解説させて頂きます。
これから塗装工事を予定されてる方にとっては、学ぶべきポイントがいくつもありますので参考にしてみてください
実際に寄せられた相談内容
※内容:消費者センターページ引用
1.当事者の主張
<申請人の主張の要旨>
平成 30 年 4 月、屋外で作業していたところ、
相手方が外壁塗装の営業に来たので、その日の夜に改めて話を聞いた。
相手方から、外壁のひび割れについて
「早く塗装しないと大変なことになる。セラミック塗装なら 30 年持つ」と言われたので、外壁塗装と屋根塗装(合計約 200 万円)を 依頼することにした。
翌日、再度相手方が来訪し、契約書を交わした。
同年 5 月から塗装工事が始まり、
2 日間の作業後相手方から、外壁、屋根、付帯部分のすべての塗装が終わったと言われた。
あまりに早かったので何回塗ったか尋ねたところ、
契約時に 5回 と説明を受けたにもかかわらず、下請け業者は 4 回と答えた。
相手方の担当者は 5 回塗ったと主張するが、2 日でそれだけの作業をすることは困難と思われる。
それ以外にも、作業内容として説明を受けた塗膜の剥がれ処理のための下地処理や目地の補修が行われていなかったり、当初は 「塗れるところは全部塗る」と説明を受けたのに、一部塗ってもらえない部分があるなど、契約 時の話と実際の作業内容が違う点がいくつもあった。
相手方に確認を求め、最寄りの消費生活センターにも相談したが、
相手方は「外壁塗装については主材が均等な厚みで仕上がっていれば機能は果たしており、一定時間を空けて作業しているので、問題はない」、「目地交換も下地処理も行った」などとして、対応しない。
契約をなかったことにして、未払い金(100 万円)の請求を放棄し、
既払い金(100 万円)を返金してほしい。また、工事中に相手方が破損した倉庫屋根材割れ等の修理費用(約 25 万円)を支払ってほしい。
2.相手方の主張の要旨
和解の仲介の手続に協力する意思がある。申請人の請求を認めない。
申請人の希望する金額は一般的な補修費用を大きく超えているが、
当社では補修内容を確認できない。
1工事代金から 15 万円を減額し、残金 85 万円の請求を行う、
2工事代金から 3 万円を 減額の上、施工不良の手直しをする、
いずれかの方法で解決したい。
なお、契約時、当社は、外壁塗装の耐用年数はあくまで試験データであることを適切に説明した。また、目地補修については当初から打ち増しの契約である。打ち替えとの説明は行っていない。契約後についても下地処理や塗装については契約内容通りに作業を行った。
なお、現在申請人宅の目地部分にはひび割れが見られるが、これは工事完了後に生じたものである。
3.手続の経過と結果(和解)
仲介委員は、第 1 回期日において、両当事者から事情を聴取した。
その上で、申請人宅の状態を確認する必要があると判断し、第 2 回期日にて現地調査を行うこととした。
期日後に仲介委員は、本件工事で用いられた塗料のメーカーに質問状を発出し、塗料の耐久性や施工の仕様について調査を行った。塗料メーカーによれば、原則としては塗装工程の間、仕様書通りの乾燥時間を設けることが望ましいものの、仕様書の乾燥時間は一つの目安であり、適切な乾燥時間は気候や天候等の条件によって異なるとのことであった。調査の結果、促進耐候性試験に使用されたキセノンランプが 60W/m2であり、試験結果から 30 年の耐候性があるとは判断できなかった。
第 2 回期日は申請人宅で開催し、本件工事後の状況を確認した。
申請人の主張通り、目地部分のシーリングの増し替えが基本的に行われておらず、
既に目地と外壁材の間にひび割れが生じて いること、塗装面に塗膜の剥がれ等が生じていることが確認できた。また、外壁塗装については、塗装回数は特定できなかったものの、全体的に塗料が薄く、塗りむら、塗り残しが見られた。屋根の塗装についても異物の混入などが見受けられ、塗りむらが確認された。
第 3 回期日において、仲介委員は相手方に対し、申請人宅で確認した状況について説明し、本件工事の仕上がりは、必ずしもすべての消費者が満足する品質とは言えないのではないかと伝えた。また、申請人宅の築年数や見積額等を考慮すれば、裁判所においても、目地部分のシーリング材については補修は打ち増しではなく打ち替えを前提とした契約であると判断される可能性があると指摘した。
さらに、相手方の主張通り、目地のひび割れが相手方の施工後に生じたものであれば、
不具合のある部分のみについて目地を打ち増しとした相手方の判断について、見立てが甘かったと言わざるを得ないことを添えた。その上で、本件建物に使用された塗装材料が硬質で 目地の打ち替えについて通常の目地補修より高額になる補修費用等を考慮すれば、本件は既払い金を全額返金することが望ましいのではないかとの考えを示した。相手方は一定の範囲で、施工内容の判断や施工品質に問題があることを認め、譲歩案について再検討すると述べた。
第 4 回期日を前に、相手方より、本件工事について今後一切の対応を行わないことを条件に既払い金 100 万円全額を返金して契約解除するとの和解案が提示された。
期日において、申請人も この案に同意したため、両当事者間で和解が成立した。
専門店の見解ポイント
1,契約の仕方と営業マンの説明責任
訪問販売に限らずですが、外壁塗装を依頼する際【即断即決】はせず、
最低3社程の相見積もりを依頼すると【平均値】が知れます。
おすすめとして、
・具体的に工程写真を見せてくれる。
・近所に施工邸現場があり、確認できる。
・通常塗装期間は、関東の一般的な戸建住宅の場合【2週間前後/15〜20人工】程度だが、あまりにも短すぎる工期じゃないかの確認
・選定塗料のメリットだけではなく、デメリットもしっかり聞く。
この辺りは最低でも抑えておきたいポイントですね。
今回の請負業社の問題点であるこちらの説明に関して解説します。
「早く塗装しないと大変なことになる。セラミック塗装なら 30 年持つ」
これは説明不要ですが、今現在もそういう誇張した表現をする所はありますので、注意が必要です。
早く塗装しないと大変な事になる。と言う表現を色んな形で説明したのだと思いますが、
消費者の皆さんが知っておいて欲しい事は
「大変な事=雨漏りや外壁の爆裂などの現象がいつ起こるか。は専門家でもパっと見では不明」
って事です。
塗装工事の判断は、撥水効果の低下やサビ、塗膜の剥がれなどを目安に提案する事はありますが、
急いで煽られて行う工事ではありません。あくまで、ご家族の資金状況や築年数での目安、
ご近所さんのメンテナンス状況を総合的に加味して、ゆとりを持って発注するようにすれば、失敗は大分軽減できると思います。
「5回塗りして、塗れるところは全部塗る」
さっきの表現もそうですが、誇張が過ぎますね笑
5回塗りって。。中々ないですが、問題が起きない様に事前に行う事は、
・塗れる所をお家の外観を見て、双方にチェックする事(書類で確認できる状態)
・塗る材料の名前と使用缶数を事前に確認しておく事
で、現場が始まってからお客様自身が確認する事が可能になりますので、抑えておきましょう。
当初から打ち増しの契約である。打ち替えとの説明は行っていない。
お客様が打ち替えか増し打ちかを分かっていない時点で【状況に応じ、打ち替えが妥当です。】
私たちも日頃から気をつけている事ですが、お客様は素人の立場で、請負者はプロの立場なので、説明していませんでした。は基本的に通用しません。サイディング目地に関しては、塗装工事に際して重要な施工箇所です。その事から、そのまま増し打ちで施工されていれば、塗料の寿命との相関も悪く、お客様の悩みを根本から解消できていない事になりますね。できるだけ真っ当な塗装屋をされている方々はお客様がその事を知らない前提でちゃんと説明する事ができれば極力問題はなくなるはずです。
2,塗装施工の工期と内容
2 日間の作業後相手方から、外壁、屋根、付帯部分のすべての塗装が終わったと言われた。
典型的なやっつけ仕事です。
塗装工事は、各工程で必要な乾燥期間ってものがありますし、通常外壁3回塗りでも15人工〜20人工前後は要します。
このお客様も、そこに気付き消費者センターに駆け込まれたそうなので、まずは問題に気付けて良かったのですが、事前に防ぐには、
・工程表を作成してもらい事前に提出してもらう事
・依頼した業者の口コミで、施工に際しての問題がなかったか確認する事
がまずできる事ですね。
話をされている工期が極端に短い場合は、工程表を事前にもらう事で、業者側に詳細を確認しながら施工ができるので、事前に解消できる可能性があります。
また、訪問販売が悪い訳ではないですが、訪問販売業者の中には、【安い金額で下請け業者に丸投げ】する請負業者が多い事も確かです。その事から、下請け業者にとっては工期を短くする事=利益が上がる事に直結しますので、下請け業者の判断で、施工完了される事例が多々あります。その事から、当たり前ですが、お客様からの評判が悪かったり、口コミ評価が低評価ですので、事前に確認しておきましょう。
3,その後の塗装作業について
上記でも少し触れましたが、「目地増し打ち箇所」に関しては再度目地撤去して新規の目地を施工する事になります。また、塗装工事に関してが大問題で、
”塗装面に塗膜の剥がれ等が生じていることが確認できた”事と”施工期間2日”
と言う事から通常メーカーが推奨している施工は行われていない事から多少の剥がれはありますが、密着している所もありそうですね。その密着している箇所とすぐ剥がれる箇所が混合しており、その塗装面を剥がさないと新規の塗料を塗布しても効果が発揮できない事から【剥がれる面を全て剥がす事】と【剥がれた箇所と密着箇所との下地調整】を行う事が必要になりますので、単純に下地調整・作成の日数が掛かり、通常施工より高くなってしまいます。
その事から裁判所の
”本件建物に使用された塗装材料が硬質で 目地の打ち替えについて通常の目地補修より高額になる補修費用等を考慮すれば、本件は既払い金を全額返金することが望ましいのではないかとの考えを示した。”
と言う判断は妥当だと思います。
4,塗装業者としてやるべき事
上記でも述べましたが、
「お客様は素人で、こちらが専門家である」
前提で【契約時の説明責任】を果たす事だと思っております。
それは、工事に関しての重要な事項は、”書面で交わす事”を行う事で、
多くの問題は事前に防ぐ事ができますので、上記の内容と併せて参考にしてみてください!
消費者生活センターHP
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